代表取締役 町屋 雄三
ギタリスト・作編曲家・プロデューサー
「あなたの日常に不可欠でありたい」を軸に、音楽で人の背中を押す仕組みをつくっています。
SNSの数字より、真のファンとの関係を。
第1話「あなたの日常に不可欠でありたい」この言葉の原点
「歌を届ける」とは、どういうことだろうか。
あなたにとって、音楽はどんな存在ですか。
毎日聴くもの? 気分を上げるもの? それとも、誰かを思い出すもの?
私にとっては——人生を変えた「事件」だった。
きっかけは、一人のギタリストだった。
長渕剛さんのバックバンドで、ステージの端に立ち、黙々とギターを弾き続けていた笛吹利明さん。
派手ではない。前に出ない。
でも、あのギターがなければ成立しない——そういう音を出す人だった。
初めて映像で見たとき、電流が走った。
「この人みたいになりたい。」
それがプロを目指した、最初の衝動だった。
でも、弾けば弾くほど、気づかされていった。
自分は笛吹さんにはなれない。
技術の話だけじゃない。
あの音には、あの人にしか出せない「何か」があった。
生き方とか、歩んできた道とか、そういうものが音の奥に滲んでいる。
真似しようとするほど、遠ざかっていく。
その壁にぶつかったとき、初めて問いが変わった。
「笛吹さんみたいになる」ではなく——「自分にしか出せない音って、何だろう」と。
それが、私のプロとしての本当の一歩目だったと、今は思う。
誰かの模倣じゃなく、自分の表現を追い始めたとき。
音楽が、仕事になった。
そして少しずつ、わかってきた。
「歌を届ける」とは、技術でも、感動でも、勇気を与えることでもなくて。
誰かが動き出す「きっかけ」になること——なんじゃないか、と。
背中を押すでも、励ますでも、慰めるでもなく。
ただ「あ、動いていいんだ」と思わせる。
その瞬間を音楽で作れたら、それで十分だと思った。
私のキャッチフレーズは、「あなたの日常に不可欠でありたい」だ。
大げさに聞こえるかもしれない。でも意味はシンプルで、確信に満ちている。
長渕剛の音楽が当時の私にとって「不可欠」だったように——誰かにとっての「不可欠」を、アーティストとチームで一緒に作り出したい。
それだけのことだ。
この連載では、Y’s Music Labelを立ち上げるまでの10年間を、全部話していく。
失敗も、借金も、遠回りも。
そして、10年かけてようやく出た「答え」も。
次回は——八百屋の父が教えてくれた、音楽ビジネスの「歪み」の話。
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